効果的な単語集とは
更新 2019/11/27(水)
文責 炭本 治之
何のために単語集の単語を暗記するのか。
目的は「受験する試験で合格点を取りたいから」です。
では,この目的ではどんな単語集がいいかについてです。
■受験する試験の最近の過去問で登場した単語が重要
コンピュータがない時代には,単語集の単語が試験に出ているかどうかなんて,
調べることはできません。
しかし,現在では単語集と試験問題を入手して,単語や試験問題のテキストデータを
パソコンに入力して,プログラムを作れば,単語集の単語が試験に出ているかどうかを
調べることができます。
最近の試験で,それぞれの単語が登場しているかどうか調べられるのです。
そうであれば,最新の10年分の試験問題で登場している重要単語だけを
収録した単語集をつくってはどうか。
これが単語集ソフトをつくろうと思った動機です。
そう考えたのが2007年でした。
ただしこの作業は簡単に達成できるものではありません。
実際に本腰で取り組みを開始したのが2018年。
動機発生から開始の決断まで11年もかかってしまいました。
■単語集は,単語を類義語でグループ化することが重要
単語を同義語・類義語・対義語でグループ化してあると,格段に覚えやすく忘れにくくなります。
以下に例で示します。
例1 1章の最初のグループ 人生の時期
native 生まれつきの
childhood 子ども時代
adult 大人
adolescent 若者
youth 若者
senior 年長者
elder 年上の
この中の単語の「どれか1つか2つだけ意味を忘れてしまう」ということはありませんね。
なぜなら,どれかの意味を忘れても,前後の単語の意味からその単語の意味が
推定できてしまうから。
例2 7章の最初のグループ 組織・地位
assign 割り当てる
role 役割
status 地位
organize 組織する
monarch 皇帝
president 大統領
chief 長
moderator 司会
counselor 助言者
agent 職員
staff 職員
slave 奴隷
assign a role で「役割を割りあてる」
roleとstatusとは類義語
assign a role をいろいろな人に対して行えばそれはorganizeすることになる
monarch,president,chiefは組織のトップ。人事権がある
moderator, counselorは影響力のある立場
agent,staffがいわゆる平職員
slaveになると人権さえもない
このグループの単語も,ある単語の意味から次の単語の意味が推定できます。
■単語をグループ化して覚えていそうな人の例
早稲田大学講師だったグライル先生は,国籍はオーストラリアで,英語の他に,日本語,
ドイツ語,フランス語,ロシア語もできるほどの語学の達人だったそうです。
グライル先生は学生に対して,次のような変わった質問をしたことがありました。
「鞍をつけていない馬を(日本語の)他の言葉で言い換えるとどんな言葉になりますか?」
こんな質問を学生にした先生はグライル先生だけで,私には新鮮な体験でした。
「どうしてそんな質問をするのだろう?」
「何の目的でそんなことを知りたいのだろう?」
今考えてみると,グライル先生は単語を覚えるときは別の言葉で言い換える,つまり類義語
と関連付けて覚えていたのではないか,と思います。
そういう人は,
語彙力があるから,関連性のある単語を言えるのでなく,
関連性のある単語で覚えるから,語彙力が順調に向上した
のでないか,と。
■単語をグループ化して覚えると負担が少ない
1200単語覚えるとなるとたいへんな量です。
しかし,単語をグループ化してあって覚えるのは90グループなら,ずいぶんと負担は減ります。
最初の単語の意味さえ覚えてしまえば,その後に続く単語は最初の単語と関連性があるので,
一連の単語を一括で暗記できます。
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