舟入小学校の警察沙汰
更新 2020/09/17(木)
(C)文責 炭本 治之
私は，小学校は広島市立舟入(ふないり)小学校だった。
舟入は，その南側の江波(えば)と違って穏やかな町である。
江波には，漁港，牡蠣の加工場，三菱の工場があって活気があった。
対照的に舟入は，公園とお好み焼き屋が点在する住宅地だった。
だから舟入では警察沙汰なんて起きたことはなかった。
しかし，私が小学6年のときに，クラスメート3名が警察に保護されて，
小学校にも通報が入るという事件が起きた。
JR広島駅から，電車で20分，フェリーで7分のところに宮島がある。
宮島は日本三景の一つ，2020年現在では世界遺産にも登録されているが，
土日は多くの人で混雑する。
広島市の子供にとって，宮島は，鹿にさわることができて，潮干狩りもできる，
登山も面白い，夏は海水浴もできる，毎年1回は親に連れていってもらうおなじみの
場所である。
その宮島に，舟入小学校6年生の男子，明石，小島，石丸の3名が，
子供だけで来ていたので，警察が安全のために保護したらしい。
授業で，担任の女の先生が，
「あんなに混雑したところに子供だけで行くものではありません」
「行くなら親に連れて行ってもらいなさい。」
というような話をされた。
ふーん，宮島って子供だけで行ってはだめなのか，と思った。
警察に保護されて，自宅まで警察官に移送されたうちの一人，明石には，
直接話を聞いた。
明石の話は，担任の先生の話とは少し違っていた。
宮島を歩いていたら，女性警察官がいたので，冗談で，
「サツだ！」
と言って走って逃げたのだそうだ。
当時のTVでは，刑事物の番組がよく放映されていたので，
「サツ」という言葉が警察を指すことは小学生でも知っていた。
それでTV番組のまねをしてふざけて逃げたらしい。
ところが女性警察官は本当に追いかけてきて，捕まってしまったらしい。
「あんなことするかよー」
明石は笑っていた。
さて，あなたは次のどちらの意見が妥当だと思いますか？
警察と小学校の先生の言うとおり，宮島のような混雑したところに，
子供だけでは行くべきではないし，女性警察官が保護したのは当然，と思いますか。
それとも，無邪気でいたずらな子供を「コラッ」と叱るだけで済ませればいいのに，
観光地の多くの人が見ているなか，子供を走って追いかけて捕まえるなんて。
宮島の女性警察官は大人げないな，と思いますか。
ちなみに，最近は，宮島で制服の女性警察官を目にすることがない。
私服にして観光客にまぎれているようだ。
それが正解だと思う。
私服なら，いたずらの天才明石でも，女性警察官にちょっかいを出せない。
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