同時通訳方式＝最速の英文理解方法
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　更新　2019/12/10(火)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　文責　炭本　治之
　
■理解するだけなら同時通訳方式が最速
　(1)同時通訳方式とは
  　I met my friend Tom at six this morning when running along the river.

  　上の英文を理解するときは，次のように理解すべきです。
  　「私は会った，私の友達のトムに(6時に)(今朝)(走っているとき)(川ぞいを)。」

  　日本語としては語順が失格ですが，英文を英文の語順のままに理解すると
  　日本語の語順に並べ替える手間が不要なので，早く英文を理解できます。

  　このように理解する方法を「同時通訳方式」と呼ぶようです。

  　英文を理解するだけなら，同時通訳方式で十分です。

　(2)長文を同時通訳で和訳
　　センター試験の長文問題を同時通訳方式で和訳してみます。

  　2018年　第6問
  　(1) History teaches us that technology and associated discoveries have
    changed how we understand the world. Many technological devices provide
    additional range and power to our natural capacities, such as our five senses.
    Among these devices, many enable us to see things that we cannot see with
    the naked eye. This change from invisible to visible has led to tremendous
    growth in our comprehension of the world and has strongly influenced our
    ways of thinking.

    歴史は教える，私たちに，次のことを。技術と関連する発見は変えた，
    どのように私たちが理解するか，世界を。
    多くの技術的装置は提供する，追加の範囲と力を，私たちの自然の能力に対して，
    (私たちの五感のような)。
    これらの装置の中で，多くが私たちに可能にする，物を見ることを，
    (私たちが見ることのできない，肉眼では)
    この変化(不可視から可視への)は導いた，とてつもない成長に，(理解力において)
    世界の，そして強力に影響した，私たちの方法に，考えの。

　　これで十分に英文を理解できますね。

　
■完全和訳は長い時間がかかる作業
　　では，上の同時通訳和訳を完全和訳することを考えてみます。

  　完全和訳，つまり，日本語として立派な文章にするには，次の作業が必要です。
　　(1)主語，目的語，動詞の語順に変える
　　(2)後置修飾をすべて前置修飾に変える
　　(3)必要に応じて品詞や言い回しを変える

　　例えば，最初の文を完全和訳する場合を考えてみます。

    　歴史は教える，私たちに，次のことを。技術と関連する発見は変えた，
    　どのように私たちが理解するか，世界を。

　　(1)(2)の作業で次の文になります。
　　　歴史は，私たちに，技術と関連する発見がどのように私たちが世界を理解するかを変えた，
　　　ということを教える。

　　(3)の作業で次の文になります。
    　歴史を知れば，科学技術と関連する発見によって人類の世界への理解が変わったことが分かる。

　　このような作業をすべての文について実施すると，次のような文例になります。

    　歴史を知れば，科学技術と関連する発見によって人類の世界への理解が変わったことが分かる。
    　科学技術を駆使した装置によって，人類は生まれ持った五感を越えた範囲まで認識することができる。
    　このような装置の中で，多くの装置は肉眼では見れないものさえも認識できるようにする。
    　不可視が可視へと変ったことによって，世界への理解力がとてつもなく進歩し，物事の考え方に強く
    　影響することになった。

  　日本語として立派な文章にするのは，語順や言い回しを変えるので，とても時間のかかる作業です。

　
■同時通訳和訳・完全和訳の比較

  

    
　
    

      

        

          
　
          
 同時通訳和訳 
          
 完全和訳 
        
        

          
 文構造 
          
 英文の構造と同じ 
          
 英文の構造と大きく異なる 
        
        

          
 理解しやすさ 
          
 英文構造を理解しやすい 
          
 英文構造の理解には役に立たない 
        
        

          
 作成するのにかかる時間 
          
 最短時間でできる 
          
 同時通訳の場合の４倍くらいの時間がかかる 
        
        

          
 日本語としては 
          
 失格な文 
          
 立派な文 
        
      
    
  

　センター試験では記述式で「全訳せよ」と出題されることはないので，完全和訳は不要です。

　同時通訳方式で理解すればそれで十分です。

(終わり) ページの先頭へ