無効な抗生剤を処方
更新 2021/05/07(金)
(C)文責 炭本 治之
専門家に，自分が知らない専門知識を悪用される。
自分は，体調不良で注意力も意志力も弱い。
そんなときは，うかつになっていて，だまされることがある。
■風邪で鼻水が長引いた
風邪をひくと，最初はサラサラした透明の鼻水が出る。
普通は，５日目くらいからべっとりした鼻水になり，１０日くらいで症状が軽くなる。
べっとりした鼻水になる理由は，体内に抗体(IgG)が生じたからだ。
抗体は，風邪の原因菌や原因菌がつくりだす毒素に付着して，それらを不活性化したり，
破壊する反応を引き起こす。
抗体によって，普通は風邪は２週間で自然に治癒する。
２０１８年３月に風邪をひいて，サラサラした透明の鼻水が出ることがあった。
ところが，その透明な鼻水が１０日くらい続いたのだ。
当時，仕事ばかりしていて，半年くらいスポーツに汗を流すことが全然なかった。
筋力も低下しており，免疫機能も低下していたようだった。
テッシュを手に取る前に鼻水が机の上にしたたることさえあった。
そんな状態では仕事に支障がある。
その日は日曜日だったが，自宅から数kmの位置の耳鼻科がたまたま休日診療担当だった。
その耳鼻科を受診して，抗生剤の処方を依頼した。
ところが，抗生剤は３日分しか処方されなかった。
(休日診療では３日分しか処方できないらしい)
３日後の水曜日に，近所の耳鼻科に行って，抗生剤の処方を依頼した。
抗生剤とは細菌を殺す内服薬。
風邪の症状がひどい場合は，抗生剤で風邪の原因菌を殺すという治療法もある。
(症状が軽症なら抗生剤は使うべきではない。薬に頼ると，抗体のできない弱い体質になるので。)
■耳鼻科医師が無効な抗生剤を処方
ところが，処方された薬を指示通りに服用しても，翌朝も，翌々日の朝も，症状が改善しなかった。
むしろ悪化した。
処方された薬「クラリスロマイシン」をGoogleで調べたら，これはマクロライド系の抗生剤だった。
マクロライド系の抗生剤について調べると，鼻炎・副鼻腔炎の主要な起炎菌は，
薬剤耐性を持つものの割合が大きく，無効な抗生剤であることが判明した。
「治療の第一選択薬とはなり難い」と遠まわしな表現をしてあるが，
これは，要するに「薬として効果がない」という意味だ。
無効な抗生剤を投与しても当然効かない。
症状が長引くだけだ。最悪の場合は病気が慢性化することになる。
ところが，医師の不正はこれだけでなかった。
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