患部切除手術
更新 2021/06/01(火)
(C)文責 炭本 治之
■鼻の組織を切除する手術
アレルギー性鼻炎対策として
「鼻づまりを起こす部分の組織を切除または焼却除去する手術」
がある。
広島のような地方の病院では,この手術をやっているところが実在する。
広島の病院に電話して確認したところ,次のような回答があった。
(1)減感作療法はやっていますか?
「減感作療法はやっていません。」
(2)MAST検査していますか? どんな検査をしていますか?
「こちらの耳鼻科では,MAST検査はやっていません。」
「やっているのは,ファイバースコープで患部を調べる検査です。」
■平滑筋を変成させる手術
気管支の平滑筋を加熱変成させて気道を開けるという内視鏡手術があるらしい。
下の資料は,2021/05/27時点の,島根大学病院Webサイトの資料。
2ページに「気管支サーモプラスティ」という内視鏡手術が紹介されている。
thermoplasty 熱形成術:気管支の平滑筋を熱で変成させる
島根大学病院Webサイトの資料
説明には「喘息発作症状の緩和が期待できます」とある。
「緩和できます」でなく「緩和が期待できます」とある。
おそらく,症状を緩和できるエビデンス(証拠)が得られていないのだろう。
そうであれば,この治療は,医者が論文を書くために実施したいだけの治験でないか。
■私の意見
アレルギー患者の患部を切除する手術は避けるべきだと考える。
なぜなら,患者の体への負担が大きく,一時しのぎでしかないと考えられるから。
(1)重症は,アレルゲン除去と薬物投与で未然に防止できる
(2)減感作すれば1年でアレルギー体質は明らかに改善する
組織の切除や変成が必要なほど重症化しているということは,
(a)医師が,今まで長い間,
アレルゲン除去も指導せず,減感作もしないで,
症状を薬で抑えるだけで,
MAST検査もしないか,1回検査するだけでおしまい。
患者のアレルゲン反応性が悪化するのを放置していたからではないか。
(b)患者自身も,患者(子供)の親も,
地元の医者任せにして,
アレルギー体質を長年悪化させてていたからではないか。
■驚愕するような地方の治療実態
広島では,アレルギー性鼻炎の子供に,鼻の組織を切除する手術をする医師がいる。
島根では,喘息を起こしたら,気管支の平滑筋を加熱変成させる手術をする医師がいる。
では,彼らは,アトピー性皮膚炎を起こしたら,皮膚組織を切除または加熱するのだろうか?
頭痛を起こしたらどうするのか?
そんなことをやっていたら患者の体はボロボロになってしまう。
■東京の一流の医師はそんな治療はしていない
東大や千葉大出身の医師の間では,減感作療法が主流で,薬物投与も併用する。
私は,患部をいじる手術をやっている例は,東京・千葉では事例を知らない。
治療方法が複数ある場合は,
医者は,自分の得意とする治療方法,自分がやりたい治療法を選択するのではなく,
医者は,すべての治療法方の中から,患者に最適の治療方法を選択すべき
ではないか。
(終わり) ページの先頭へ
|