庄原バイオマス事件１ 概要
更新 2024/01/05(金)
(C)文責 炭本 治之
■概要
この事件は，一言で言うなら「出資金詐欺」です。
「こんな儲かる事業を企画しています，出資してください」と出資金を集める。
実際には事業になっておらず，後になって出資金を持ち逃げされていたと分かる。
■経緯概要
2007年3月から
庄原市は，民間ベンチャー企業と協同でバイオマス事業を企画
2009年10月から
庄原市は，国から補助金を得て，民間ベンチャー企業に交付
2011年12月
NHK記者が，設備建設費用の水増し請求を発見
庄原市は，民間ベンチャー企業社長を刑事告訴
2013年9月
広島地裁に続いて高裁も，民間ベンチャー企業社長の実刑を判決
2014年12月
国は，庄原市に，補助金の一部(2億3000万円)を返還させた
2015年7月
庄原市民の会が，庄原市と元市長を相手取って行政訴訟提訴
2023年1月
広島地裁に続いて高裁も，庄原市の元市長と現市長の善管注意義務違反を認めた。
元市長は，庄原市に2億3000万円の損害賠償責任を負うとした。
裁判長は，現市長に「元市長に損害賠償請求せよ」と判決した。
■経緯詳細
裁判記録，特許情報Webサイトなどから，次の経緯が分かります。
2006年10月
株式会社ジュオン(広島市安佐南区祇園)代表取締役西本哲郎，
グリーンケミカル株式会社(ジュオンの子会社)の代表取締役西本清宏(哲郎の弟)，
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 中国センターの研究員らが特許出願
出願番号（国際出願番号）：特願2006-290376
「糖化液製造方法及びエタノールの製造方法」
2007年3月
庄原市は，エタノール製造の共同事業をグリーンケミカル社と企画
2009年5月，2010年4月
国は，庄原市経由で，グリーンケミカル社に合計4億6203万円の事業補助金を交付
2010年11月
ジュオンとグリーンケミカル社が破産申請
2011年12月
NHK記者が，グリーンケミカル社の水増し請求を明らかにした
庄原市が，ジュオン社長(西本哲郎62歳)とGC社社長(西本清宏52歳)を刑事告訴
2013年9月
広島高裁でも，西本哲郎・清宏兄弟に，補助金等適正化法違反で実刑判決
2014年10月
庄原市はグリーンケミカル社との共同事業中止を決定
2014年12月
国から補助金返還命令があって，庄原市の税金2億3000万円が失われた
(庄原市民一人当たり6000円の負担になるそうです)(庄原市民の会のWebサイト)
2015年4月
「庄原市民の会」が庄原市に住民監査請求
2015年6月
庄原市監査委員が住民監査請求を却下(門前払い)
2015年7月
「庄原市民の会」の11人が庄原市を相手取って民事訴訟
末永雅之裁判長
原告代理人弁護士 山田延廣，藤井裕，工藤勇行
被告代理人弁護士 原田武彦，近藤将雄
2015年12月
第2回公判後の報告集会
2016年2月
第3回公判
裁判所は，刑事事件の公判記録の取寄せを認めた
公判記録に含まれるもの
捜査報告書３冊，被告人兄弟(ジュオン社長とGC社社長)の供述調書
証言記録，政策推進ノート，各種会議のメモ，メール
警察官・検察官による証人尋問調書
公判記録で前市長が市長の権限で何をし何をしなかったか，
前市長の市議会での答弁は真実か虚偽などを立証できる。
2016年4月
第4回公判
2018年1月
西本哲郎が肺がんのため死去
2022年3月
一審判決
2022/3/30 中国新聞Webサイト
【速報】前庄原市長への約2億3800万円支払い請求を市に命じる
木質バイオマス訴訟、広島地裁で原告勝訴
広島県庄原市の木質バイオマス利活用プラント整備補助事業が頓挫し、
市が2014年に国へ補助金を返還しなければならなかったのは、
事業を進めた滝口季彦前市長（80）の注意義務違反に原因があるとして、
市民11人が市を相手に、滝口前市長に国への返還額約2億3800万円を
支払わせるよう求めた住民訴訟の判決で、
広島地裁（大森直哉裁判長）は30日、市民側の訴えを認め、
市に対し滝口前市長に市の負担分全額を請求するよう命じた。
2023年1月
控訴審判決
西井和徒裁判長は、市に対し滝口前市長に返還額の全額を損害賠償請求するよう
命じた一審判決を支持、市側の控訴を棄却した。
2023年5月
最高裁が滝口前市長の上告を却下。高裁判決が確定。
2023年6月
庄原市が，滝口前市長に約2億3800万円とその利息の支払いを請求。
2023年11月
庄原市が，滝口前市長に請求した約2億3800万円が未払いだとして、
前市長に支払いを求め広島地裁三次支部に提訴(中国新聞の記事)
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