庄原バイオマス事件２ 詐欺の手口
更新 2023/02/07(火)
(C)文責 炭本 治之
■なぜ，国はの補助金をバイオマス事業に交付したか
１ 広島県立大学が事業に肯定的意見
木材の端材がどれくらいの量あって，有効利用すればどれだけの収益になる。
そんな研究成果をパイオマス事業の事業化の根拠としている。
２ ベンチャー企業と国立研究開発法人産業技術総合研究所が特許出願した
西本哲郎(株式会社ジュオン社長)
西本清宏(西本哲郎の実弟，ジュオンの子会社グリーンケミカルの社長)
は，産業技術総合研究所の研究員と共同で，
「糖化液製造方法及びエタノールの製造方法」
で特許出願している。
出願番号 特願2006-290376
３ 事業の実証実験が成功したと報告
リグニン取り出しに成功した
４ ３社の見積書を提出
設備の建設を他社に発注するが，発注前に見積もりを取っている。
木材粉砕処理施設の建設費用見積
①ユーグロップ株式会社 ５億６２４０万円
②株式会社エネエスマシナリー ５億９８７５万円
③関西メカシステム株式会社 ６億４６７０万円
５ 庄原市が事業推進に積極的に協力
■実際には嘘だらけだった
１ 実際には研究発表内容はデタラメ
端材がどれくらい入手できるか，それからどれくらい製品物質を取り出せるかなどの
数値が現実離れしていた。
２ 実際には特許出願の技術は事業化不可能
セルロースを糖化させるのは簡単ではない。
「酵素を反応させる前に水蒸気を当てて粉砕する」という技術で出願していた。
こんな単純な前処理で木材を糖に変える反応を実用化できるはずありません。
(セルロースについての専門知識があれば，偽の技術だと分かります。)
特許庁のWebサイトを開くと，J-PlatPatという特許・実用新案検索サイトへの
リンクがあります。
J-PlatPatのサイトで，特願2006-290376 で検索すると，誰でも出願書類を見る
ことができます。
上の出願は「未審査請求によるみなし取下」でした。
つまり，特許を取るための手続きの「審査請求」をしていません。
３ 実際には実証実験していない
実験をしていた研究所の施設長は，検察官の取り調べて次のように発言。(検面調書)
「実証実験ではリグニン製造したことはない。」
４ 実際には見積書はすべて偽物
グリーンケミカルは，５億６２４０万円で設備建設を，
株式会社コスモエース(東京の会社)に発注して設備は建設された。
しかし，NHKの記者が調べたら，９４００万円相当の設備だった。
しかも，コスモエースの代表取締役は西本哲郎，取締役は清宏。(登記事項証明書)
５ 庄原市は，上の嘘をまったく把握していなかった
西本兄弟が提出する文書の内容が真正であるかどうか，まったく調べなかった。
■結局は
設備を改良しても，収益は期待できない，事業化はできないと分かり，
事業は中止になった
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